とある先輩の話。

その先輩は数年前に結婚し、東京から故郷に戻って暮らし始めた。あまりに遠いのでなかなか会う機会はなかった。先日、用事でその先輩の故郷を訪れた。先輩の仲間が多数参加するイベントがあり、そのお手伝いで行ったのだ。きっと来るだろう、会えるだろうと思った先輩は、来なかった。先輩の仲間の1人が電話をしたが、繋がらなかったそう。翌日、聞いたところによると、「今、調子が悪かごた。」とのことだったので、残念だなぁと思っていた。

 

それから一ヶ月。人伝で聞いたのだが、その先輩はガンに侵され、ステージ4なのだそうだ。手術はしないらしい。転移も見つかっているそう。それ以上の情報はなかった。

 

その時思ったのは、もう先輩に会えないかもしれない、ということだった。なんとも言えない、寂しい気持ちになった。

 

しばらく後に、ふと思った。同じ東京に暮らす、健康な先輩でも、会う機会はあるかもしれないし、ないかもしれない。いや、病気かどうかも知らないのだ。どの道、機会なんて自分から作らないと、会えないかもしれないのだ。それは寂しいことなのかと自問すると、よくわからなかった。

 

ただ、思うことは、いつかみんな死ぬのだ。それまでに何をするのかが大事なのだ。

 

それまで、たくさん良い仕事をしないと、後悔するだろうな。