水木しげる「総員玉砕せよ!」(1973)

 

総員玉砕せよ! (講談社文庫)

総員玉砕せよ! (講談社文庫)

 

 

水木しげる先生の戦争体験を描いた作品で、90%が真実・一部創作とのこと。

1943年の出来事。
そう昔でもないが、本当に同じ国なのかと思うほど酷い。時も場所も離れたところに居ると自覚しながら触れるこの世界は、兎に角気持ち悪い。

生きながらえたところでと言いますけどね
人生ってそんなもんじゃないですか
つかの間からつかの間へ渡る光みたいなもんですよ

 

ああ
みんなこんな気持ちで死んでいったんだなあ
誰にみられることもなく
誰に語ることもできず
ただ忘れさられるだけ…

人はPublicな死を望む。
誰かに知ってほしく、
誰かに覚えていて欲しい。

HIVに侵され死を覚悟したソプラノ歌手、クラウス・ノミが歌った「Death」の"Remember me, Remember me..."という悲痛な美声を思い出す。